かい歯科クリニックかい歯科クリニック 谷町九丁目、上本町の歯科医院

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天然歯を守る最後の砦に

「歯は大事にしたい」「歯を抜きたくない」「いつまでも自分の歯で生きたい」
このような考え方が、やっと日本で浸透しはじめてきたように思います。そして、街の
いたるところに「抜かない、削らない」がモットーの歯科医院が並んでいます。

なのに、なぜこうも「歯を抜かなきゃいけないと言われた」「痛みや腫れが引かない」
「治したのにまた痛い」という悩みや訴えが絶えないのでしょうか。そのような悩みや、
1本の歯に真剣に向き合う歯科医院はどれくらいあるのでしょう。残念ながら日本では、
歯を残すための重要な「根の治療」、すなわち「根管治療」が非常に軽視されています。
かい歯科クリニックは、歯を抜かずに残すための最後の砦でありたいと考えています。

先進と伝統のハイブリッド

最大24倍拡大、肉眼とはまさに別世界の、超繊細な治療を可能にするマイクロスコープ。
複雑に入り組んだ根管の内部構造を、3Dイメージで正確に映し出す歯科用CT。
Ni-Tiファイル、手用マイクロブレード、超音波切削機器、MTAセメント…etc。
国内での普及はまだまだですが、根管治療に取り組むにあたっては欠かせないものです。
本物の根管治療に取り組む当院では、先進機器やこだわり抜いた道具と材料を揃えています。
根管治療は、正確な診断をもとに、頭に思い描いたイメージを指先に伝える総合技術です。
器用なだけでは診断を誤り、理論だけでは実体を掴めず、理念が無ければ時代に流されます。
日本の根管治療の始祖から脈々と受け継がれてきた技術と理念が、先進テクノロジーにより
更に磨かれ、より高い次元に昇華されたハイブリッド。それが私たちの根管治療です。

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1根管治療はこんなに大切

「治したはずの歯が痛い」「ずっと違和感がある」「歯ぐきから膿が出てくる」
それは、もしかしたら根管治療の失敗が原因かもしれません。

1)「根管治療」とは?

歯の内部には神経や血管の集合体である、「歯髄」という組織があります。歯髄は「根管」を通じて歯に
栄養・水分を供給し続ける、非常に重要な器官です。むし歯が歯髄に到達してしまうと、細菌感染により
炎症が起こり、猛烈な痛みが襲いかかります。しばらくすると炎症は根管内のすみずみまで、ついには
根の先の骨まで進み、骨をも溶かしていきます。「根管治療」とは、根管内に侵入した細菌や感染源を、
根の先の先まで取り除き、再び感染しないよう緊密に塞ぎフタをするという治療です。根管内の細菌が
極限まで少なくなれば炎症は鎮まり、溶けた骨は再生し、歯が再び使えるようによみがえります。

歯が痛い

2)根管治療が歯の存亡の鍵を握る

根管治療が不適切に行われた場合や、虫歯による再感染を起こしてしまうと、根管内では細菌が増殖し、
慢性的な炎症が持続することで病態はじわじわと進行していきます。根の先の骨は少しずつ溶け、そこ
には常に膿がたまっている状態になります(根尖病変)。痛みや腫れ、歯肉から膿が出るといった症状を
繰り返していく中で、根尖病変は次第に大きくなり、最終的には歯を抜くという結末が待っています。
根管治療は見えないところの治療のため、キッチリ行おうが多少手を抜こうが、すぐには分かりません。
しかし、建築における基礎工事のような治療のため、ここで少しでも手を抜いてしまうと後から大変な
ことになってしまいます。

建物が傾く

3)「最初の1本」を失わないということ

もしその歯を抜いてしまえば、歯が原因である根尖病変はなくなり、膿も出なくなります。しかし、その
1本の歯がなくなってしまうと、それを埋め合わせる治療をしなければなりません。逆に歯を抜いたまま
放置してしまうと、口の中では様々な変化が起こります。噛み合わせの崩壊は少しずつ始まり、将来的に
多くの歯を失うことになるドミノ倒しが始まってしまいます。
1本の歯が残せるか否かは非常に重要なことです。根管治療により歯を残すということは、たとえそれが
1本の歯であっても、その両隣の歯と合わせて3本分、将来のもっと多くの歯を救うと言っても過言では
ない、非常に価値のある仕事です。欧米諸国では、もともと非常に高かった根管治療の価値が近年になり
更に高まっています。日本では歯を抜かないために手を尽くすよりも、抜くことになってインプラントを
選ぶという流れが未だに主流のようです。

ドミノ倒し

4)なぜ今根管治療なのか?人生100年時代の生き方

人生100年時代が来ると言われています。否が応でも100年生きなければならない時代なのです。現代の
80歳は非常に元気な方が多いですが、歯の状態はそれに追いついてないようです。それを映し出すように、
シニア世代の「若いうちにやるべきだったこと・後悔していること」のアンケートのトップは「歯の定期
検診を受ければよかった」です。シニア世代の悩みは「歯の状態が悪くて困っている」ということです。

トップ20

この図は、各国の歯科定期検診の受診率と、80歳で何本の歯が残っているかを示したものです。これは、
予防歯科の重要性を示すためによく用いられるものです。たしかに定期検診(メインテナンス)が非常に
重要なものであることに疑いの余地はありませんが、仮に日本でも同じような定期検診の習慣ができたと
しても、今のままでは同じ結果にならないと私は考えます。なぜなら、日本では根管治療をはじめとした
歯を残すための治療技術のレベルや意識が低いからです。歯を守るためには、予防習慣だけでなく、歯を
残すための適切な治療が必要なのです。

グラフ

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2日本と世界の根管治療

まず、辛く暗く、そして苦しい現実を先に示します。
「日本の根管治療の平均レベルは、各国と比べ最底辺である」
「日本の根管治療の平均的な成功率は40%以下である」
これは、日本の保険制度に縛られた中で、多くの歯科医師が良い仕事ができないことも大きな要因です。
「国や制度が良くない」と文句を言うのは簡単ですが、現在の私たちの問題解決にはなりません。
今、私たちがどうするかが重要です。

1)日本の根管治療のレベルは最底辺?

まずはこちらの図をご覧ください。これは簡単に言うと、「根管治療がうまくいかないまま残されている
歯の割合」です。つまりどういうことかと言うと、「日本の根管治療の平均的な成功率は、どれだけ高く
見積もっても40%以下である」と言うことです。この論文中でも、「保険制度の制約で治療環境を整えら
れない」、「日本の保険制度を変えることは厳しい」と述べてあります。

グラフ

事実、日本の保険制度における根管治療の報酬はびっくりするほど低いのです。下図は各国の根管治療の
治療費と、物価の基準としてハンバーガー100食分の費用とを比較しています。保険点数をもとにした
診療報酬がいかに低いかということが分かります。この図を、どのように解釈しますか?
「日本は、こんなに安く根管治療が受けられる良い国だ」と読みますか?
「安い報酬で根管治療をしなければいけない、日本の歯科医って大変だ」と読みますか?
それとも…?
「日本の保険治療では、安かろう悪かろうの治療しか受けられない」と読みますか?
「赤字な根管治療はボチボチにして、駄目ならインプラントの方が良さそうだな」と読めませんか?

グラフ

2)欧米こそが正義なのか?

例えば米国などでは、「10万円払えない人は、根管治療を受けるまでもなく抜歯」です。大学病院で
学生や研修生の実習台として治療を安価に受けられる制度もあり、これは非常に良い制度だと思います。
その点日本では、成功率が40%以下ではありますが、非常に安価に根管治療が受けれられます。

日本の一部の根管治療専門医には「アメリカの専門医や大学の言っていることは正しい」という風潮が
ありますが、私は必ずしもすべてが「科学的に正しい」とは思いません。一見して「科学」的にみえる
意見やスタンスの裏に、「契約社会」「訴訟社会」「分業社会」が生んだ歪みのようなものが見え隠れして
います。科学は国境や時代を超えて普遍的なものでは必ずしもないのです。日本に生まれ日本で暮らして
いる私達には、私達のベストがあるのではないでしょうか。

歯の画像

虫歯になった歯を研究するための標本は、
治療を受けられずに抜いた歯で作られている。

3)歯を失ったら、インプラントする日本人

私が歯科医師になってまず疑問に思ったことは、「インプラントが先進治療である」という風潮です。
当時と今では少しだけ違いますが、いまだにその雰囲気が抜けていません。もちろん、インプラントは
失った歯に対して非常に有効な治療法です。しかし「歯を残す治療に対しての意識が低すぎないか?」と
思ってしまいます。たとえば、インプラント治療を受けているような人が、残っている歯の治療を銀歯に
したり、歯磨きの徹底がなされていなかったりもします。「失ってからお金を払うけど、失わないための
投資や努力はしない」というのが、当時から私は非常に悲しく思っていました。

インプラント

4)日本で良い根管治療を受けるには?

私は学生時代に、「根管治療なんか頑張っても赤字だ」と言われたことがあります。歯医者になりたての
ときにも、研修先で「根管治療にそんな時間をかけるな」と言われていました。
学生時代や若手のときに、根管治療を頑張ろうとしている人は意外と多いです。そしてその内の多くが、
経営的な事情や収入の低さなどを理解し、だんだんと標準的な歯医者になっていきます。

弟子入りし修行を積み、専門的な根管治療ができたときは、ベストを尽くせることが嬉しく思いました。
日本でも、現実に負けずに良い根管治療を追求している歯科医師はいます。大家の師匠のもとで修行する
先生もいれば、海外で学んでくる先生もいます。いろんな流派や考え方がありますが、共通しているのは
「はじめからその姿勢を貫いている」ということです。水は上から下へ流れ、一度汚してしまった紙は
完全な白紙にはならないのです。そのような人たちに会えば、「この人は信念を持っているな」という
意思やスタンスが否応なしに伝わるものです。

根管治療の姿勢

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3本物の根管治療とは?

何が本物か。正解へのルートはひとつではありませんが、原理原則は一つです。
根の病気は、根管内の細菌が原因です。菌を徹底的に除去し、菌が侵入しないようにすれば治るのです。

1)診断、CT分析、総合治療計画

診断が正しくなければ、全てが無駄です。痛い歯はどの歯か、その原因はなにか、介入治療が必要なのか、
そもそも痛みの原因は本当に歯なのか、様々な手段で徹底的に診断します。根管の内部はとても複雑で、
すべての根管が曲がりくねっています。それもCTで事前に内部構造を把握し、頭の中で3Dイメージし、
どのように治していくかの設計手順を考えます。根管治療は診断を基盤とした頭脳プレイなのです。
また当院は「根管治療しかしない」という「専門医院」ではないため、最終的な全体の噛み合わせの調和、
歯周病、見た目の美しさまでの総合的な治療計画も立てていきます。

分析

2)マイクロスコープで、「手探りの治療」が「視える治療」に

私は初めてマイクロスコープで治療をしたとき、全く違う世界が視えることに衝撃を受けました。
「歯の中に潜り込んでいるような感覚になる」と言っても過言ではないくらい、別世界なのです。
根管と言いますが、その構造はチューブ状ではありません。内部は洞窟のようにいびつに入り組んでおり、
隠れた空間や抜け道があったりします。中に明かりが全く無い洞窟の探検は、原始人ならば松明片手に
ズンズン進んで行けるかもしれませんが(そして足を滑らせて転落したりもするのでしょうが)、現代人
ならばもっと安全かつ効率的で正確な方法を選ぶでしょう。
マイクロスコープなしの根管治療は、私からすればとても原始的で、不確実なものと言わざるを得ません。

マイクロスコープ

3)そもそも根管治療にさせない虫歯治療

「根管治療が上手い人ほど、安易に根管治療をしない」ということをご存知ですか?
どんなに上手く根管治療をしても、生きている歯髄には到底敵いません。歯髄は歯に栄養と水分を与える
役割もあります。それがないと、枯れた枝のようにポッキリと折れやすい状態になってしまいます。
そのため私達は、なんとしてでも神経を抜かない治療、つまりは歯髄の保存を試みます。一見して神経を
抜かなければならないような状態でも、なんとか残していけることは非常に多いのです。根管治療に力を
入れている歯科医師の手にかかるということは、そもそも根管治療をする確率を下げることにもなります。
(この件に関しては、「歯髄保存療法」のページにて詳しく説明します。)
本当の本当に必要性があるとき以外は神経を抜かないというのも、当院の根管治療の特徴です。

マイクロスコープ

4)先進技術で、伝統的な理念を実現させる

先進技術のベクトルというのは、クオリティの向上以外にも様々な方向に向けられます。例えば、誰でも
簡単にできるようにという力の向け方もあり、とりわけ近年はその傾向が強いと感じます。それはそれで
素晴らしいことですが、当院が採用するものは「クオリティ向上につながるもの」のみです。根管内の
細菌を徹底除去すれば病変は治るわけです。それは何十年も前に分かっていることで、本来外科的治療
(歯根端切除)や強力な薬剤や化学薬品に頼らなければならないことはないのです。

「伝統的な理論と方法を、先進技術でより高い次元で行う」ということが当院の根管治療の基盤です。

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4抜かずに治った!実際の治療例

ここでは実際に私が行った治療例を紹介します。
一度も根管治療していない歯の治療は、高い成功率が期待できます。
特殊な根管や複雑な病態を併発している場合は難易度が高くなります。
すでに根管治療がされている歯の再治療は、失敗の修正などから始まるため、難易度が更に高まります。
しかし、歯を残せる可能性がある限り、手を尽くさなければなりません。

1)イニシャルトリートメント

1-1 根管治療は最初が肝心!
症例①

歯髄に炎症を起こしズキズキ痛む歯や、既に歯髄が壊死している歯の、はじめての根管治療です。
やり直しの治療(リトリートメント)は統計的に成功率が低くなり、また根管形態が破壊された歯はさらに予後が悪くなってしまいます。
この治療をいかにハイレベルに適切に行うかが、ターニングポイントとなります。根管治療の技術を提示するには、技術の差が最も表れる大臼歯の症例写真が最も適していると考えます。
歯内療法専門医試験でも、提示症例には大臼歯を含むことが義務付けられているのはこのためです。本来の根管形態を崩さずに治療したレントゲン写真は、専門知識がなくても美しく見えるのではないでしょうか。

1-1 症例①-1

1-1 症例①-2

1-1 症例①-3

1-1 症例①-4

費用、リスクなど
費用
イニシャルトリートメント大臼歯 80,000
(税込88,000)
MTA根管充填 +10,000
(税込11,000)
病変加算(②が該当) +10,000
(税込11,000)
難解剖加算(①が該当) +10,000
(税込11,000)
支台築造(仮歯を含む) +19,000
(税込20,900)
合計

①:119,000
(税込130,900)

②:119,000
(税込130,900)

③・④:109,000
(税込119,900)

(備考)
セラミッククラウン:120,000(税込132,000)
or ゴールドクラウン:130,000(税込143,000)
※術前CT診断時に治療費用が決定します。
※前歯の基本料金は40,000(税込44,000)、小臼歯は60,000(税込66,000)

治療のリスクとデメリット(上のすべてのケースに共通)

  • 100%の治癒は保証できない
    (約90~95%、根尖病変の有無や状況により異なる)
  • 1回あたりの治療時間が長い
1-2 エンドペリオ病変、歯性上顎洞炎

根の先で起きた炎症が重症化してしまうと、そこから歯全体を取り囲むように骨破壊が進行し歯周ポケットとつながってしまい、「エンドペリオ病変」と呼ばれる難症例に化けてしまうこともあります。
また上の歯では上顎洞まで炎症が波及し歯性上顎洞炎を起こしてしまっているケースもあります。
ともに重症化症例のため、難症例とされています。

症例① 大きく骨吸収した歯の根管治療

主訴:左上の歯がグラグラする

1-2 症例①

  • ①歯の周囲を取り囲む黒い影がみえます。
    歯髄診断の結果、生活反応がありません。
  • ②歯のまわりの支持骨がほぼ失われている、
    重度のエンドペリオ病変です。
  • ③治療完了。周りの黒い影が消えています。
  • ④骨再生により動揺も無くなりました。
費用、リスクなど
費用
イニシャルトリートメント大臼歯 80,000
(税込88,000)
MTA根管充填 +10,000
(税込11,000)
病変加算 +10,000
(税込11,000)
難症例加算(エンドペリオ病変) +10,000
(税込11,000)
支台築造(仮歯を含む) +19,000
(税込12,900)
合計 129,000
(税込141,900)

(備考)セラミッククラウン:120,000(税込132,000)

リスクとデメリット(症例①~③に共通)

  • 100%の治癒は保証できない(約90%)
  • 1回あたりの治療時間が長い
  • 治癒したかどうかの判定に半年程度かかる
  • 重度歯周炎由来の病変は成功率が下がる
  • ごく稀に生活歯でも歯根破折が起きていることがあり、その場合は何をしても治癒してくれない。
症例② 2歯連続の大きな病変

主訴:右下の歯がすごく痛い

1-2 症例②

  • ①根管治療済みの右下5、未治療の右下6の両方に根尖病変があります。
  • ②CTを撮ると、レントゲンでのイメージより大きい病変であることが分かりました。
    右下6はポケットの深いエンドペリオ病変。
  • ③治療完了後、病変は消失しています。
  • ④根の先から生え際まで大きく破壊されていた骨は綺麗に再生しました。
費用、リスクなど
費用
(右下5)根管治療〜支台築造
(リトリートメント小臼歯、MTA根管充填、病変加算、支台築造)
119,000
(税込130,900)
(右下6)根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、病変加算、難症例加算、支台築造)
129,000
(税込141,900)
セラミッククラウン 120,000×2
(税込132,000×2)
症例③ 上顎洞に炎症が及んだ歯の治療

主訴:右上の奥歯と頭が痛い

1-2 症例③

  • ①右上7周囲に黒い影がみられ、電気歯髄診にて神経が死んでいる「失活歯」と診断されました。
  • ②根の周囲の骨破壊、炎症が上顎洞粘膜まで及んでしまっていることが分かります。
  • ③根管治療が完了し、クラウンを装着。
  • ④上顎洞の炎症が消退し正常像に近づいています。周囲の骨も再生しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、病変加算、難症例加算、支台築造)
129,000
(税込141,900)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
症例④ 炎症が上顎洞を変形させ押し上げていたケース

1-2 症例④

  • ①非常に大きな根尖病変ができており、炎症により上顎洞底が持ち上がっています。
  • ②根尖径が大きいため、MTAにて充填しました。
    病変の縮小を確認しゴールドクラウンを作成。半年後、病変は消失しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、病変加算、難症例加算、支台築造)
130,000
(税込143,000)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
1-3 解剖学的難症例(4根管、C-shape、強い湾曲)

統計的に大臼歯の根管治療の成功率が低い理由として、ときに4根管や樋状根(C-shape)といった、特殊な根管を持った歯が混在することも挙げられます。大臼歯の根管治療自体がそもそも難しい上に、入口すら発見しにくい第4根管や、内部構造が複雑な樋状根は手も足も出ないという状況も多くみられます。アジア人は樋状根や下顎第4根の出現頻度も高いため、日本の根管治療は解剖難易度的にも制度的にもたいへん難しいと言えるでしょう。

症例① 第4根管をもつ上顎大臼歯の治療

主訴:奥歯がすごく痛い

1-3 症例①

  • ①右上7番目の歯が痛い。
  • ②よく見ると第4根管が潜んでいます。
  • ③上顎洞にまで炎症が及んでいます。
  • ④4根ともしっかり治療しました。
  • ⑤上顎洞の炎症が消えています。
費用、リスクなど
費用
イニシャルトリートメント大臼歯 80,000
(税込88,000)
MTA根管充填 +10,000
(税込11,000)
病変加算 +10,000
(税込11,000)
難解剖 +10,000
(税込11,000)
特殊根管加算(第4根管) +15,000
(税込16,500)
支台築造(仮歯を含む) +19,000
(税込20,900)
合計 144,000
(税込158,400)

(備考)ゴールドクラウン:130,000(税込143,000)

リスクとデメリット(①~④に共通)

  • 100%の治癒は保証できない(約90~95%、病変の有無や状況により異なる)
  • 1回あたりの治療時間が長い
  • 通常の歯と比べ難易度が高く、より高度な技術が必要
症例② 歯性上顎洞炎を起こした4根管の治療

主訴:歯も頭も痛い。

1-3 症例②

  • ①2か月前に他院で歯髄保存療法をした歯が痛い。
  • ②よく見ると第4根管が潜んでいます。
  • ③上顎洞いっぱいに炎症が及んでいます。
  • ④4根ともしっかり治療しました。
  • ⑤上顎洞の炎症がすっかり消えています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、特殊根管加算、難症例加算、病変加算、支台築造)
144,000
(税込158,400)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
症例③ 当院歯髄保存療法2年後に違和感が出た症例

主訴:最近、右上で噛むと違和感がある

1-3 症例③

  • ①右上7番目の歯に違和感。2年前に歯髄保存療法した歯。
  • ②術前のCT診断により第4根があることが分かります。
  • ③上顎洞にまで炎症が及んでいます。
  • ④4根ともしっかり治療しました。
  • ⑤上顎洞の炎症が消えています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、特殊根管加算、難解剖、支台築造)
※134,000
(税込147,400)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)

(備考)※本来ならば病変加算と難症例加算がつくパターンだが、当院で2年前に歯髄保存療法をこころみた歯の治療のため差し引いている

症例④ 下顎4根管の根管治療

主訴:右下の歯が痛い

1-3 症例④

  • ①歯髄診断にて歯髄を残せないと診断し、根管治療をしていくこととなりました。
  • ②遠心根は2つに分岐し、近心根は2本の根管が1本に合流する根管解剖でした。
  • ③根の先まで綺麗に根管充填がなされ、透過像など異常所見もありません。
  • ④歯肉が安定したところでセラミッククラウンを装着。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、難解剖、特殊根管加算、支台築造)
134,000
(税込147,400)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑤ 樋状根(C-shape)のエンドペリオ病変

主訴:右下の歯が噛むと痛い

1-3 症例⑤

  • ①右下の1番奥の歯の神経が死んでいます。
  • ②歯周ポケットとつながる「エンドペリオ病変」です。
  • ③樋状根(C-shape)特有の根管断面像です。
  • ④すっかり病変が消え、骨再生が起きています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、特殊根管加算、難症例加算、病変加算、支台築造)
144,000
(税込158,400)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑥ 発現率3%!上顎大臼歯4根、4根管病変

1-3 症例⑥

  • ①右上7に根尖病変。4根4根管を持つ珍しい歯です。
    3根4根管(MB2)の発生頻度は60~70%ですが、4根4根管の発生頻度は3%と、出会うことすら稀です。
  • ②湾曲の激しい根管でしたが4本とも綺麗に根管充填。
    病変、上顎洞の炎症も治癒しています。金属アレルギーのためジルコニアCrを装着しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、病変加算、特殊根管加算、難解剖、MTA根管充填、支台築造)
150,000
(税込165,000)
セラミッククラウン(ジルコニア) 120,000
(税込132,000)
症例⑦ DL根を持つエンドペリオ病変

1-3 症例⑦

  • ①分岐部まで骨破壊が進むエンドペリオ病変でDL根持ち。
    病変の進行度合い的にも解剖学的にも難症例です。
  • ②きれいに治りました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、特殊根管加算、難症例加算、病変加算、MTA根管充填、支台築造)
150,000
(税込165,000)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑧ 上顎洞炎を伴う上顎大臼歯の根管治療

1-3 症例⑧

  • ①湾曲の激しい上顎大臼歯に、上顎洞炎を伴う根尖病変。
  • ②大きく破壊されていた舌側の骨壁まで、きれいに再生されています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、難解剖加算、病変加算、MTA根管充填、支台築造)
130,000
(税込143,000)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑨ 上顎大臼歯のエンドペリオ病変

1-3 症例⑨

  • ①後方の骨が大きく欠損しているエンドペリオ病変です。
  • ②保存困難な可能性もありましたが無事に治癒。
    後方の骨欠損もきれいに再生しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
130,000
(税込143,000)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)

リスクとデメリット

  • このような形の骨欠損をともなうエンドペリオ病変の場合、根管治療だけでは治らない可能性もある。
    根管治療をしたうえで歯周外科を行い、それでも治らず抜歯になる可能性もある。

2)リトリートメント
(過去に根管治療した歯、治療中の歯の再根管治療)

根管治療の成功率に関する統計論文は数多くありますが、リトリートメントの成功率がイニシャルケースを上回ることは無いようです。

なぜリトリートメントの成功率は低くなってしまうのか?

  • ①感染や病変が長期化・陳旧化し、治りにくくなっている
  • ②不適切な根管治療がなされていると、根管形態が本来の形から逸脱してしまい、修正が困難なこともある
  • ③根の先端付近の破折や根尖孔外バイオフィルム(菌の塊)の存在など、何をしても奏功しないケースが混在する

以上の理由が挙げられます。

成功率の下がるリトリートメントに追い込まれないために、イニシャルトリートメントを確実に決めよう!というのが世界の共通認識でもあります。

とはいえ当院で取り扱うケースの多くはリトリートメントです。遠方からも最後の希望をかけて来られるため、お互い相応な覚悟をもって臨まなければなりません。

2-1 治療後の痛み・違和感が消えない歯
症例① 樋状根(C-shape)の再根管治療

主訴:右下奥歯が痛い

2-1 症例①

  • ①右下7に根尖病変ができています。
  • ②CTでエンドペリオ病変だと判明しました。また、破折の可能性も示唆されます。
  • ③治療後、病変が消失しています。
  • ④きれいな骨再生を起こしています。深い歯周ポケットも無くなりました。
  • ⑤嚙み合わせにも優しいゴールドクラウンを装着。
費用、リスクなど
費用
リトリートメント大臼歯 100,000
(税込110,000)
MTA根管充填 +10,000
(税込11,000)
病変加算 +10,000
(税込11,000)
難症例加算(エンドペリオ病変) +10,000
(税込11,000)
特殊根管加算 +15,000
(税込16,500)
支台築造+仮歯 +19,000
(税込20,900)
合計 164,000
(税込180,400)

(備考)ゴールドクラウン:130,000(税込143,000)
※リトリートメント前歯の基本料金は60,000(税込66,000)、小臼歯は80,000(税込88,000)

リスクとデメリット(以下リトリートメントに共通)

  • 100%の治癒は保証できない(約80%)
  • 1回あたりの治療時間が長い
  • 治癒したかどうかの判定まで半年程度かかる
  • イニシャルケースと比べ難易度が高く、より高度な技術が必要
症例② 4根管の再根管治療

主訴:海外専門医のもとで治療中だが違和感が消えない

2-1 症例②

  • ①治療中の歯に違和感。根の先に根尖病変がみられます。
  • ②海外の根管治療専門医を受診していたとのことです。クラウンを除去せずに治療していました。
  • ③クラウンを除去すると、感染源が残っていることが分かります。まずこれを徹底的に取り除きます。
  • ④マイクロスコープ下にて4根管を徹底的に清掃し、症状が消えたところで根管充填。
  • ⑤治癒を確認後、セラミッククラウン装着しました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、特殊根管、MTA根管充填、支台築造)
154,000
(税込169,400)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例③ ここまで骨が再生する。2本の抜歯宣告からの復活

通っていた歯医者で「奥の歯を2本まとめて抜かなければならない」と言われてしまったとのことです。
初診のレントゲンを見て、あまりの病変の大きさに驚きました。根尖病変でここまで骨が溶けてしまうのか。
前医が抜きましょうと言ったのも納得できるほどの進行具合でした。
しかし歯を残したいという強い希望があり、真面目に通院していただけた結果、半年後にはここまで骨が再生しました。
この骨の再生度には、治療をした自分も驚くほどでした。
このケースから、「ゆっくり進む病変とは言え、放置するとここまで進行してしまうこともある」ということ、「根の治療でここまで骨が再生する」ということを学びました。
根管治療は、実際に触っている場所は根管、つまり歯の内部だけですが、「治癒を起こさせる場所」は歯の先、歯の周りの骨などの周囲組織なのです。

2-1 症例③

  • ①2本の歯に根尖病変がまたがり、非常に広範囲の骨が溶けています。奥から2番目の歯の神経もすでに死んでいました。
    歯周ポケットとの交通もあり、エンドペリオ病変と破折、両方の可能性があります。
  • ②治癒には半年ほどかかりました。かなり骨が再生しているようにみえます。
  • ③1年後のCTです。歯の周りを囲んでいた黒い部分が消え、網目状のものに置き換わっています。
    溶けていた骨が再生し、正常な歯の周りの組織に治癒しているのが分かります。
  • ④グラグラ揺れていた歯でしたが、動揺がピタッと止まり、歯周ポケットも正常値になりました。
費用、リスクなど
費用
(左下7)根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、特殊根管、MTA根管充填、支台築造)
154,000
(税込169,400)
(左下7)ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
(右下6)根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、病変加算、難症例加算、支台築造)
129,000
(税込141,900)
(右下6)セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例④ 治療中の歯のリカバリー

主訴:他院で自費根管治療を受けているが、良くならない

2-1 症例④

  • ①大きな根尖病変ができています。
    2本の歯が治療中でしたが、痛みが残っています。
  • ②目測を誤り穴を空けた跡がみられます。
  • ③歯の周りの骨が大きく溶けています。
  • ④治療後1年。病変が綺麗に消えています。
  • ⑤歯の周りの骨が再生しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント前歯、病変加算、MTA根管充填、支台築造&CR充填)
95,000×2
(税込104,500×2)
症例⑤ 小臼歯のリトリートメント4例

2-1 症例⑤-1

2-1 症例⑤-2

2-1 症例⑤-3

2-1 症例⑤-4

  • ①前歯や小臼歯の根管治療は湾曲も少なく簡単だと誤解されていますが、先端ほんの少しを攻略できていないだけで、
    痛みや病変が発生してしまうこともあります。
  • ②根の途中から、または先端から急激に曲がる、二手に分岐する、先端・細部の仕上げで結果がまるで違います。神も細菌も細部に宿るということです。
費用、リスクなど
費用(以下4症例、すべて同じ)
根管治療〜支台築造
(リトリートメント小臼歯、病変加算、MTA根管充填、支台築造)
119,000
(税込130,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑥ 内部吸収の根管治療

主訴:歯ぐきに違和感がある

2-1 症例⑥

  • ①右上1,2に違和感がある。歯の見た目も不自然さも気にしている。
  • ②根の先に黒い影がみられます(根尖病変)。
  • ③根管の構造に虫食いのような像がみられ、「内部吸収」が起きています。
  • ④CTでも広範囲の骨吸収が確認されます。
  • ⑤根管治療後、右上1,2はセラミッククラウン、左上1は非切削のダイレクトボンディングにて審美的な改善を図りました。
  • ⑥術後、根尖病変が治癒しています。
  • ⑦術後CT、骨が綺麗に再生しています。
費用、リスクなど
費用
(右上1)根管治療〜支台築造
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
109,000
(税込119,900)
(右上2)根管治療〜支台築造(イニシャル前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造) 89,000
(税込97,900)
前歯セラミッククラウン 130,000×2
(税込143,000×2)

このケース特有のリスク

  • 内部吸収は通常の細菌感染による場合と違いやや特殊な反応であるため、介入してみないと治るかどうかの見通しが立ちにくい
症例⑦ 上下の難治性病変の根管治療

主訴:左側上下の奥歯が痛い

2-1 症例⑦-1

  • ①,②左上6根管治療前→根管治療、セラミッククラウン
  • ③,④左下7根管治療前→根管治療、セラミッククラウン

下記にてそれぞれを詳しく解説します。

左上6詳細:4根管の再根管治療

2-1 症例⑦-2

  • ①レントゲンでは病変の存在が不明瞭です。
  • ②CTで大きな病変、骨破壊像がみられます。
  • ③先端付近で2つに分岐する根をもつ、4根管の歯の充填。
  • ④破壊されていた骨が再生されています。

左下7詳細:エンドペリオ病変の治療

2-1 症例⑦-3

  • ①根の先だけでなく歯周囲全体が黒く写り、ポケットも深く「エンドペリオ病変」であると診断されました。
  • ②歯を支える骨がゴッソリ溶けてしまっています。
  • ③治療後、黒い影が消えています。
  • ④きれいな骨再生がみられ動揺もピタリとおさまりました。
費用、リスクなど
費用
(左上6)根管治療~支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、特殊根管加算、MTA根管充填、支台築造)
154,000
(税込169,400)
(左下7)根管治療~支台築造
(イニシャル大臼歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
119,000
(税込130,900)
(左下7)上下セラミッククラウン 120,000×2
(税込132,000×2)
症例⑧ 左上奥歯の大きな病変、上顎洞炎

主訴:左側上下の奥歯が痛い

2-1 症例⑧

  • ①炎症や痛みが激しい場合は、どの歯が痛いか分からなくなってしまうことも少なくありません。
  • ②CT像では、大きな病変と上顎洞の炎症がみられます。
  • ③根管湾曲(カーブ)のかなり激しい症例でした。
  • ④病変はきれいに治り、上顎洞の炎症像が消えています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難解剖加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
159,000
(税込174,900)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
症例⑨ 樋状根のエンドペリオ病変再治療

主訴:奥歯の根管治療をしているが、違和感が消えない

2-1 症例⑨

  • ①根の先まで歯周ポケットがあり、グラグラに揺れています。エンドペリオ病変or破折が疑われます。
  • ②非常に大規模な骨破壊が起きています。
  • ③長期にわたって治療されていたため歯が動いており、さらに隣の歯にはレントゲンで分かるレベルの不適なジルコニアクラウンが入っていたため、両方の歯の根管治療とクラウンの再治療をしています。レントゲン上では病変は治癒しているようにみえます。
  • ④違和感も消え、骨が再生し、動揺も消えています。
費用、リスクなど
費用
(右下7)根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難症例加算、特殊根管加算、MTA根管充填、支台築造)
169,000
(税込185,900)
(左下6)根管治療~支台築造
(リトリートメント大臼歯、支台築造)
109,000
(税込119,900)
上下セラミッククラウン 120,000×2
(税込132,000×2)
症例⑩ 内部吸収の根管治療

内部吸収を伴う歯の根管治療です。症状が無い限り経過観察するのが定石ではありますが、他院にて根管治療が始まってからの転院でした。

2-1 症例⑩

  • ①非常に大きな内部吸収が起きています。治療しても折れてしまうかもしれませんが、保存への強い希望があったため治療を始めました。
  • ②根尖はMTAシーラー+ガッタにて垂直加圧充填、内部吸収部分はパーフォレーションを伴っていたため、MTA単味で充填しています。
    術後1年、折れることもなく安定しています。
費用、リスクなど
費用
(右上1)根管治療〜支台築造・充填
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
105,000
(税込115,500)
症例⑪ すでに外科治療が行われている歯のリカバリー

他院にてすでに歯根端切除を受けています。術後1年たっても治癒がみられなかったため、東京の歯根端切除専門医院にて「更なる歯根端切除をするために、近くの歯医者で虫歯の部分だけ埋めてもらって来て」と言われ、不安になり来院されました。

2-1 症例⑪

  • ①すでに歯根端切除がなされているため、根尖の解剖が破壊されています。
    とはいえ根管治療の基本である感染源の除去を徹底的に行い、通常の根管治療を試みます。
  • ②MTAにて根管充填、CR充填から1年経過。外科的歯内療法をせずに治癒がみられました。
費用、リスクなど
費用
(右上1)根管治療〜支台築造・充填
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
105,000
(税込115,500)

リスクとデメリット

  • 根管充填後に治癒がみられなかった場合は外科的歯内療法に移行する
  • その場合、治療期間が延び、治療費は5万円追加で必要となる
  • 外科的歯内療法をした場合、歯冠歯根比が悪化する
症例⑫ 経過観察中に病変の進行がみられたケース

2-1 症例⑫

  • ①初診時、根尖病変はありましたが不快症状が無かったため、経過観察としました。
    1年後も病変に変化はみられませんでした。
  • ②初診から2年半後、歯肉に腫脹がみられました。病変の進行が認められ、治療介入を決定しました。
  • ③根管充填から1年後。病変の治癒がみられます。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造・充填
(リトリートメント前歯、病変加算、MTA根管充填、支台築造)
95,000
(税込104,500)

リスクとデメリット

  • 無症状の病変に対しては、介入・非介入ともにそれぞれ異なるリスクが潜むため、術者と患者双方がそれを理解する必要がある。
症例⑬ 陳旧性根尖病変の治療→審美修復

2-1 症例⑬

  • ①およそ10年前から違和感が持続している前歯。根尖病変がみられます。
  • ②この方は失活して変色した外観も気にしています。
  • ③根管治療後、違和感と病変が消失するまで1年近くかかりました。
  • ④治癒後、レイヤードe.maxクラウンにて審美的な修復を行いました。クリーピングによりブラックトライアングルが埋まっています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
110,000
(税込121,000)
前歯セラミッククラウン 130,000
(税込143,000)
症例⑭ 大きな根尖病変の再根管治療

2-1 症例⑭

  • ①根の先まで根管充填がなされていますが、病変が大きく、全体を取り囲むように骨が溶けています。
  • ②膿が骨を破り、歯肉に膿瘍ができています。
  • ③治療後半年、病変が縮小し骨再生が起きています。
  • ④歯肉膿瘍もきれいに消失しています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
160,000
(税込176,000)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)

リスクとデメリット

  • このように歯全体を取り囲むような病変や、通常よりも上部に形成された膿瘍の場合、歯根破折の可能性もある。
    治療介入した結果、抜歯を余儀なくされてしまうこともあり得る。
2-2 パーフォレーションリペア、破折器具除去

ただの手抜きや、途中までしか治療ができていないという状態はまだ救いがあります。
そのようなケースは「後からきちんと再治療をすれば治る可能性が高い」とも言えます。
頑張って治療しようとした結果、根の先の繊細な構造が壊れたり、修正不可能なコースアウトをしたり、根管内で器具が折れてしまったりすることもあります。
真面目に頑張った結果、より状況が悪化してしまうことは少なくありません。
そのようなトラブルからのリカバリー症例を、ここでは紹介します。

パーフォレーションリペア(穿孔封鎖)

根管治療中に誤って歯に穴をあけてしまうと、そこから感染源が根管内⇔外に行き来できる道ができてしまいます。
その穴周囲の感染源、炎症組織を取り除きMTAセメントで補修封鎖することをパーフォレーションリペアと呼びます。

費用

1か所あたり+10,000(税込11,000)

デメリット

  • 穴があいたことにより、その周囲歯質の耐久性がそもそも低く、治癒したとしても治療後の歯根破折のリスクが高い
  • 穿孔の大きさ、古さによってはリペアしきれない、治癒しないこともある。

破折器具除去

根管治療中に用いる器具(ファイルなど)は非常に細く、時として根管内で折れて残留してしまうこともあります。
これは偶発的に起こるものとして、術者・患者双方が認識しておくべきことでしょう。
そこから先の未到達の根管に残った細菌が炎症の原因である場合、折れた器具を安全に取り除かなければなりません。
非常に繊細な器具操作が必要になるため、高難度なテクニックでもあります。

費用

1本あたり+30,000(税込33,000)、難症例は50,000(税込55,000)

リスクとデメリット

  • 100%除去できるとは限らない(折れた場所、長さ、太さで難易度が変わる)
  • 除去したとて、その歯の治癒率はリトリートメントの成功率に準ずる
症例① パーフォレーションリペア

主訴:抜くしかないと言われた

2-2 症例①

  • ①根の先で折れた器具が残されています。
  • ②根尖病変、骨の破壊像がみられます。
  • ③本来の根管を突き破り穴が空いています。(パーフォレーション)
  • ④パーフォレーションしている部分はMTAシーラーにてリペアしています。
  • ⑤2→1根管の合流先で破折していることと、歯質が弱くなっていることを考慮し、除去は試みていません。オリジナルの根管にレッジ修正し徹底清掃。
  • ⑥患者の理解と協力に助けられ、根尖病変の治癒・骨の再生がみられます。
費用、リスクなど
費用
(左下6)根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難解剖、MTAリペア&根管充填、支台築造)
※149,000
(税込163,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)

(備考)※このケースではMTAでのリペアと根管充填を同時におこなっているため、料金はまとめて10,000(税込11,000)としている。

症例② パーフォレーションリペア&破折器具除去

主訴:左下の歯ぐきが腫れた

2-2 症例②

  • ①根管の入り口を発見しようとする過程で目測を誤り、歯を突き破っている上、その誤った穴を隠すようにフタがしてあります。
  • ②マイクロスコープを覗きながら非常に繊細な道具で歯の外にはみ出た充填物や炎症組織を取り除き、よく洗浄・消毒をします。
  • ③次の治療のときには、もう腫れや炎症がおさまっています。
    MTAという材料で穴を補修します。(パーフォレーションリペア)
  • ④根管充填時には、隠れた脇道(側枝)が確認されます。
    もう片方の歯には、誤って折られてしまった器具がみられます。
  • ⑤破折ファイルをマイクロスコープ下で除去します。
    合計2本の折れた器具が埋められていました。
  • ⑥根管充填後にはブリッジを装着し、治療完了です。
    腫れていた部分は跡形もなく治っています。
費用、リスクなど
費用
(左下5)根管治療〜支台築造
(リトリートメント小臼歯、病変加算、MTAリペア、MTA根管充填、支台築造)
129,000
(税込141,900)
(左下7)根管治療~支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、破折器具除去×2、MTA根管充填、支台築造)
199,000
(税込218,900)
ゴールドブリッジ 360,000
(税込396,000)
症例③ パーフォレーションリペア&部分矯正

主訴:左下の歯ぐきが腫れた

2-2 症例③

  • ①「根尖病変・パーフォレーション・根近接による補綴物適合不良による歯肉炎」の3要素が絡み合った症例です。
  • ②パーフォレーションリペアと根管充填
  • ③根が近接していたため、部分的に矯正を行い適切な距離をとりました。仮歯で歯肉の炎症をコントロールしてから、ゴールドクラウン装着。
  • ④根尖病変が治癒し、歯肉の炎症が消えています。
    全過程で適切な処置をすることで良好な結果を得られます。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難症例加算、難解剖、MTAリペア、MTA根管充填、支台築造)
180,000
(税込198,000)
ゴールドブリッジ 130,000
(税込143,000)

リスクとデメリット

  • 様々な因子が絡み合ったケースのため、治療途中の段階で保存不可と判明してしまうこともあり、その場合それまでかかった時間・費用は無駄になってしまう。そのことを理解していないと介入ができない。
  • パーフォレーションリペアをしている部分の歯質は薄く脆いため、早期に破折などで抜かなくてはいけなくなってしまう可能性もある。
症例④ 破折器具除去

2-2 症例④

  • ①奥2本のかぶせが外れたまま放置していた結果、虫歯が進み大きな病変ができています。
    手前の歯(右上6番)は、歯にヒビが入り割れていたため、半分抜歯となりました。
    奥の歯には前医によって折られた器具が残っています。
  • ②CT分析の結果、折れた器具がある根に病変があることが判明しました。
    これを除去しないことには病変が治らないことが予想されます。病変自体も非常に大きく、上顎洞を押し上げています。
  • ③折れた器具の除去は精密・的確に行わないと、根の構造を壊してしまいます。
    より熟達した技術が求められます。
  • ④クラウン装着時にはかなり病変が治り骨が再生しています。
  • ⑤治療後のCTでも、上顎洞を押し上げていた病変が消失し、骨の形が元通りになっていることが分かります。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、破折器具除去、MTA根管充填、支台築造)
169,000
(税込185,900)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
症例⑤ 破折ファイル除去

主訴:右上の歯ぐきが腫れた

2-1 症例⑤

  • ①右上4に根尖病変がみられます。
  • ②先端付近の根管内で器具が折れています。
  • ③破折器具を除去し、根管治療。
    病変が治癒しているのがみられます。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント小臼歯、病変加算、破折器具除去、MTA根管充填、支台築造)
149,000
(税込163,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑥ 破折器具除去

主訴:他院で治療後の歯に違和感がある

2-1 症例⑥

  • ①根の先で器具が折れ、残置されています。
  • ②CTで、根の先に炎症所見がみられます。
  • ③破折器具を除去し、根管清掃→根管充填。
  • ④上顎洞に及んだ炎症所見が消失しました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、破折器具除去、MTA根管充填、支台築造)
169,000
(税込185,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)
症例⑦ 破折ファイル除去

主訴:右下の歯が痛い

2-1 症例⑦

  • ①根管の入り口からのカーブが激しく、細いためか、根中央で2本の器具が折れています。
    前医から「器具が折れた」と説明は無かったとのことです。
  • ②CTで、歯全体を取り囲む大きい病変がみられます
  • ③破折器具を除去し、根管清掃→根管充填。
  • ④骨再生が起き、大きい病変が消えています。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、破折器具除去×2、MTA根管充填、支台築造)
199,000
(税込218,900)
ゴールドクラウン 130,000
(税込143,000)
症例⑧ 破折ファイルを除去せずに治したケース

他院にて治療中。痛みと違和感がなかなか引かない、何回も治療が続き先行きが見えないとのことで来院されました。

2-1 症例⑧

  • ①湾曲した根管の先で、根管治療用のファイルが破折したままになっています。
    しかも2本の根管の合流ポイントで2本のファイルが折れており、その除去は困難を極めることが予測されます。
  • ②ファイル破折が起きていると歯科医はそこにしか目が行かない、ということがしばしばあります。
    しかし冷静に見てみると、破折ファイルがある根管には病変が無く、もう片方の根に病変がありました。そしてその根の感染源の除去が明らかに不足していることから、「リスクを冒してまでファイル除去を試みずとも、感染源除去をきっちり行えば治癒するのではないか?」という予測が立ちました。
    もちろん、それでも症状が改善しない場合はファイル除去を試みます。
  • ③結果的に、感染源の除去を徹底的に行った段階で痛みや不快感は消失しました。根尖病変も消失しています。
  • ④治療から半年後、ジルコニアクラウンを装着。無理にファイル除去にトライし、歯を痛めつけることなく治癒へと導きました。
  • ※ファイル除去を行う際には、折れたファイル周囲を削ったり、歯に強い超音波振動を加えます。今回のように、ファイル除去を行わずに治癒する見込みがある場合は、あえてトライしないにも一つの手です。

費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント大臼歯、病変加算、難症例加算、特殊根管加算、MTA根管充填、支台築造)
180,000
(税込198,000)
セラミッククラウン(ジルコニア) 120,000
(税込132,000)

3)その他の根管治療

3-1 最後の切り札、外科的歯内療法
症例① 歯根端切除術

主訴:根の治療がなかなか治らない

3-1 症例①

  • ①根の先に非常に大きな病変ができており、根の外側に薬剤の一部が漏れ出ています。
  • ②病変が隣の歯や、鼻の骨にまで影響を与え始めていることが予測されます。
  • ③根管治療〜外科的歯内療法から1年後。病変がきれいに消えています。
  • ④骨再生により正常な歯槽骨に戻りました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
105,000
(税込115,500)
歯根端切除術 30,000
(税込33,000)
前歯セラミッククラウン 130,000
(税込143,000)

リスクとデメリット

  • 歯肉を剥離した時点で歯根破折が見つかり、保存不可となることがある
  • 歯根の先端数ミリを切断するため、骨植している部分が短くなる
  • 治療後に歯肉退縮が起きることがある
3-2 第三の選択肢、歯牙移植
症例① 歯牙移植症例

主訴:左下の根管治療希望

3-2 症例①

  • ①左下の根管治療を希望して来院されましたが、垂直的歯根破折により保存不可と診断しました。
  • ②移植に適した親知らずが残っていたため、歯牙移植を提案しました。左下6抜歯と同日に移植しています。
  • ③根管治療して4か月後、周囲組織ともなじんでいます。
  • ④半年後、セラミッククラウンを装着しました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、支台築造)
109,000
(税込119,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)

リスクとデメリット

  • 成功率(治療後問題なく機能する率とする)は100%ではない(80%前後)
  • インプラントと比べると、5年・10年生存率は低い
  • 若いほど成功率が高く、40歳をこえると低くなっていくとされる。
症例② 歯牙移植症例

3-2 症例②

  • ①左下6.7ともに病変があり、前医では両方とも抜歯してインプラントを勧められていました。
    左下6は歯根破折、歯全体を取り囲む骨破壊、痛みも伴っていたため抜歯が必要です。左下7も歯根破折の疑いがあり、介入したら抜歯となる可能性もあります。
  • ②右上の親知らずの歯牙移植を行い半年後。移植した歯は生着し、まわりに骨も付いてくれました。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル大臼歯、MTA根管充填、支台築造)
110,000
(税込121,900)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)

【Point】

  • 左下6のみを抜いてインプラントをするプランでは、左下7がさらに悪化し感染が波及すると大変なことになります。
    そのため、前医の診断は正しいと言えます。
    ただし抜歯して骨が回復してくれるかは分からないため、大規模な骨造成が必要になる可能性が高いです。
    ここで移植により骨再生を促しておくと、いずれ左下6,7のいずれかが悪くなった時に柔軟な対応が可能になります。
3-3 進行しすぎた虫歯には根管治療+部分矯正
症例① 根管治療、引き上げ矯正(MTM)

主訴:歯が欠けてしまった

3-3 症例①

  • ①大きな虫歯は骨の近くまで及んでいます。歯を残すには根管治療と矯正が必要です。
  • ②前後の歯にワイヤーをかけ、ゴムで歯肉に埋まっている歯を引き上げます(MTM)。
  • ③複雑な根管の適切な治療ができないと、矯正も無駄になってしまいます。
  • ④矯正・歯周外科後、クラウンを装着。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造
(イニシャル小臼歯、MTA根管充填、支台築造)
89,000
(税込97,900)
引き上げ矯正 50,000
(税込55,000)
セラミッククラウン 120,000
(税込132,000)

この症例のリスクとデメリット

  • 残存歯質が少なく、ケースによっては骨に植わっている根が短くなる
  • 骨癒着を起こしている場合が稀にあり、歯が動かないこともある
3-4 外傷歯の根管治療・診断
症例① 外傷歯の再根管治療

外傷により歯髄壊死、近医にて根管治療を受けるも違和感が消えず、抜歯を宣告されたとのことです。
当院のことを調べ、県外からお越しになりました。

3-4 症例①

  • ①大きな根尖病変。小学生のころの受傷であったためか、歯根の成長が途中で止まり、根尖孔が開いています。
  • ②大きく開いた根尖孔から肉芽が根管内部に侵入していたため、通常の根管形成だけでなく肉芽の掻把を徹底的に行い、MTAにて根管充填をしています。治療開始から4か月(根管充填後2か月)、病変の縮小がみとめられます。
  • ③外傷の根管治療では長期観察が非常に重要です。1年半後、3年後の経過も良好です。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造・充填
(リトリートメント前歯、病変加算、難症例加算、MTA根管充填、支台築造)
105,000
(税込115,500)

外傷歯の根管治療のリスクとデメリット

  • 正常な解剖から逸脱しているため良好な治癒が得られない可能性有。
  • 根の先で破折している可能性もあったため、それが原因で治療後に治癒が起こらない可能性もある。
  • 外傷後の治癒・病変の進行は予測困難な上に種々の要素が複雑に絡み合うため、術者だけでなく治療を受ける側にも理解力が必要となる。
症例② 脱落歯→外部吸収歯の根管治療

小学生のころ外傷した際に歯が脱落、歯科医院にて再植固定していただいたそうです。その8年後に痛みと違和感が出てきました。

3-2 症例②

  • ①歯髄壊死、根尖病変がみとめられます。特筆すべきは外部吸収により解剖が完全に破壊されていることです。
  • ②このケースでも外から肉芽が根管内部に侵入していたため、根管内から根管外の肉芽掻把を徹底的に行い、MTAにて根管充填をしています。
  • ③シビアなケースですが術後2年半で経過良好です。
費用、リスクなど
費用
根管治療〜支台築造・充填
(イニシャルトリートメント前歯、病変加算、難症例加算2、MTA根管充填、支台築造)
105,000
(税込115,500)
症例③ トランジェント・アピカルブレイクダウン

転倒し歯を打ち付けたため近医を受診したところ、根管治療が必要と診断を受け「どうせ受けるなら」と当院のことを調べ来院されました。

3-4 症例③

  • ①痛みはあったものの、電気歯髄診断機で生活反応がみられたため、経過観察としました。1か月後、根尖部に透過像がみられ生活反応が消失。通常ならここで根管治療開始となります。しかし、未成年の歯髄のバイタリティに賭け、もう1か月だけ様子を見てみると、生活反応が復活しました。
  • ②2年間、定期的に歯髄診断とレントゲンを撮りながら経過観察を継続しました。根尖透過像は消失し歯髄の狭窄がみられます。「トランジェントアピカルブレイクダウン」という、壊死に陥った歯髄が生活反応を取り戻す際にみられる炎症~修復~治癒の反応が起きています。
費用、リスクなど
費用

保険の範囲内

この症例のリスクとデメリット

  • 待機的診断の末に壊死していると判断することもある、不確定的な治癒反応であるため、理解の得られない患者には適応できない。

5いつまでも自分の歯を残したい方へ

根管治療は終わりましたが、これがゴールではありません。その歯で噛めるように機能回復し、さらにそれを長持ちさせるという
道のりが始まります。根の治療をした歯は弱っていますので、より繊細なケアが必要となります。

1)再感染をさせない。精密補綴(かぶせ)治療

たとえ治療後でも、再び根管内への細菌の侵入を許してしまうと、根の病気は再発してしまいます。
隙間があるような土台(コア)やかぶせ(クラウン)をしてしまうと、これまでの苦労が台無しです。
根管治療は建築に例えられます。どんなに外壁が立派な家をたてても、基礎や大黒柱が手抜き工事だと
意味がありません。また、大黒柱が立派でも、雨漏りするような屋根では柱が腐ってしまいます。
最後まで手を抜かずにやり切ってこそ初めて意味があるのです。

全体の噛み合わせの調和、歯周治療、精密形成、精密印象、さらに信頼できる技工士との打ち合わせ…。
詳しくは別ページの「精密修復治療」のページをご覧ください。

マイクロスコープ

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2)噛み合わせの不調和や、無理な力が歯を壊す!?

根管治療をした歯は折れやすいため、過度な負担がかかってはいけません。理想的な良い噛み合わせを
持って生まれた方はごく稀です。過去の治療で噛みあわせに不調和ができてしまっていることも多いため、
調和した噛みあわせになるように調節や再構築をすることもあります。歯ぎしりや食いしばりなども歯に
過度な負担を加える大きな原因であるということも認知されてきました。そのような習慣や癖を意識して
やめようと努力すること、夜間のナイトガードの装着なども非常に重要です。

噛み合わせ

3)歯を守るには、メインテナンスと生活習慣改善

虫歯には生活習慣が大きく関わります。それは「甘い物の食べ方」や「歯磨きの方法やテクニック」かも
しれませんし、大事になる前にチェックする「定期的メインテナンス」が無かったからかもしれません。
いずれにしても、それを改善しないことには悪循環から逃れることはできません。病気とセルフケアの
知識・技術をお伝えしていきたいと当院では考えています。

メインテナンス

4)再び症状が出てしまったら?

せっかく頑張って治療した歯に再び症状が出てしまうこともあります。マイクロスコープやCTでも検知
できない歯のヒビがあり、手を尽くしても治らないケースかもしれません。「治らなかった」「再び症状が
出た」という結果、外科的歯内療法や抜歯を行なっているときにはじめて発覚することが多いです。これが
根管治療の難しいところです。当院では最後の最後まで手を尽くします。どうしてもダメなときは抜歯や
外科的歯内療法になることもあるかもしれません。その場合は、なくなった歯の治療が必要となります。

歯

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